「税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】」
著者 大村大次郎氏
を読みました。
以前からの大村氏の税金に関する本を数冊読んでいます。
知らないから使えていない節税のワザが盛りだくさん書かれているので勉強になります。
実際にいくつか私も使ってみた節税術もあります。効果的でしたよ。
今回読んだ「税務署員だけのヒミツの節税術 あらゆる領収書は経費で落とせる【確定申告編】」でも「なるほど!」や「へぇ~そうなの!?」みたいな事がいっぱいあり、大変勉強になりましたよ。
中小企業で会社員をしている方もいつかは個人事業主として独立を考えている方も多くるのでは?と思います。
実はそんな方にぜひとも知ってもらいたい、興味深い内容が本書に書いてありました。
それが個人事業主も福利厚生費を経費計上出来るのか?ということです。
会社員であれば、勤務先から何かしらの福利厚生を与えてもらっている人も多いのではないでしょうか。
特に大企業であればあるほど手厚い福利厚生が用意されていることでしょう。
私も大企業勤務経験があります。
その時には保養所をよく使っていました。めちゃくちゃ良い宿で良い食事が付いてきて驚きの値段でしたよ。懐かしい・・・いや~ホント良かった!
会社員でいる良さって何気にこういう付加価値的なところにあったりするのでは?と個人的には思ってしまいます。
懐かしい思い出はさておき、では個人事業主には福利厚生ってないのでしょうか?
もちろん自分自身が運営している事業なわけですから自分で用意をすれば良いわけですよ。
だって誰も用意してくれるわけはないのですから。
では、個人事業主もその福利厚生にかかる費用は経費にできる?ということが今回のテーマです。
大村氏の本書の中に「スポーツジム、観劇のチケット代も経費で落とせる」という見出しがあります。
内容は・・・(原文のままでなくて自分の言葉に書き換えて要約しています)
経費の科目の中には、福利厚生費というものがあります。福利厚生費というのは従業員の福利・厚生のための支出です。たとえば従業員がスポーツジムに行く時の月会費を福利厚生費から出したり、観劇のチケット代を出したりすることです。
スポーツジムにいくことは運動不足解消になり健康増進につながり、観劇に行けばストレス解消や勤労意欲の増進につながります。そういう費用を事業の中から出すのが、福利厚生費です。
普通の会社ではよくある話ですが、個人事業主ではあまり使われていないようです。
福利厚生費は従業員のための支出なので自分一人で行っている事業主では使えない、そういう説もあるようです。しかし、これは誤解です。
福利厚生費とは代表者も含めた従業員の福利厚生のための経費なので、一人で事業をしている事業主でも当然、経費として認められるわけです。
なぜなら所得税法では個人事業者は販売費、一般管理費も必要経費として認められるということになっています。福利厚生費は販売費、一般管理費の中に含まれますので、当然必要経費となります。確定申告書の収支内訳書の欄に「福利厚生費」はしっかりと記載されています。
しかし、福利厚生費は個人的支出と似通っているためその区分が難しいことから、巷に出ている確定申告マニュアルなどではほとんど触れられていないし、福利厚生費は計上しない方が無難というふうに考えられていることが多いです。
しかし、個人事業主でも福利厚生費が認められていないわけではないので使わない手はないです。
というように本書に大村氏は書いています。
「よっしゃ!個人事業主でも福利厚生費を経費に計上できる!」と喜びましたが、
この内容が記載されているページには注意マークがあり、注意マークには本書巻末に個人事業主の福利厚生費についての注意事項を追記してあります。と書いてある部分がありました。
そこで注意マークが書いてある巻末を読んでみました。
どうも本書を出版以降読者からのこの個人事業主の福利厚生について問い合わせが多数あったようで大村氏が国税等に見解を求めた事を追記する為に重版以降の本書には注意マークで追記があるようです。
そこにはこのようなことが書いてあります・・・(自分なりに要約しています)
現在税務署では「一人でやっている個人事業主の福利厚生費は経費計上できない」という指導行っているようです。
しかし、これには法的に明確な根拠はないのです。所得税法では福利厚生の定義さえ明らかにされてないのにも関わらず、税務署は福利厚生費はすべて家事消費に含めるという無茶な拡大解釈をしているのです。(家事消費は必要経費としては計上できない)
ところが、国税不服審判所の裁決でも個人事業主の福利厚生費は頭ごなしに否定はしておらず、個別に社会通念上に照らして妥当かどうかを判断しています。
なので、国税庁に対していくつかの質問をしました。
Q「一人でやっている個人事業主が福利厚生費を経費計上できないという法的根拠を示してほしい」などなど
(要は一人でやっている個人事業主でも福利厚生費を経費計上できないというならその証拠を示してほしいし、会社は経営者も含めたすべての従業員が福利厚生費は事業の経費として認められているのに、なんで個人事業主は認められないのか?社会通念上おかしくはないか?というような質問をいくつかしてあります)
本書巻末ではこれらの質問して回答を待っているというところで終わっています。
回答がきたら著者である大村氏のブログに掲載するとの事でした。
実はこの本、初版2012年12月10日なのですよ、そして私が読んだのは2013年10月6日6版(今は2024年2月なのでけっこう昔の本ということ)なのです。
さすがに10年くらい経過していればもう回答がきているだろうと思い大村氏のブログを見に行ってみました。
ありましたよ、これらの質問に関する回答が返ってきたことが書いてあるブログが。
ブログの内容を読んだので結論から入ります。
「個人事業主が福利厚生費を経費計上するのはやめておいた方が無難」との事でした。
ブログには国税の電話相談室の担当者とのやりとりが書いてあります。
やりとりを見ると経費計上できない見解、その根拠は正直納得できるものではありません。
しかし、やり取りの中で、「個人事業者の福利厚生費は、家事消費であり、損金には計上できない。この解釈は東京国税局の審理部門に確認済みであり、東京国税局の見解である。」
という記載がありました。大村氏はさらに国税に追及する質問を送ったとブログの中には書いてありますが、返答はまだのようです。(私がブログの中から発見できていないだけかも)
繰り返しですが、結論は「経費計上しない方が無難である」ということです。
けっこうがっかりです・・・
途中まで「さーて、なにを福利厚生費にしてやろうか」と勝手に一人で盛り上がっていただけに。
どうでしょうか。参考になりましたか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
何かのお役にたっているようであれば嬉しいかぎりです。
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